魔王さま100分の1
「焚き木の準備は私がしてやろう」
「いえ、もう暗くなりますので魔王さまは中でお待ちを」

「む、別にひとりでもできるぞ」
「できるのは僕も保証します、しかし、お待ちを」

「むっ」
「いいですね」

「分かった、早くいけ」

魔王さまが折れる。

準備はできても、シルキスの言うことを聞かないと最終的に食べられないのだ。

「すぐに戻ってきます」

シルキスは、言葉どおり駆け足で地下に降りていった。

本心で魔王さまが出ていってしまうのが心配なのだろう。

魔王さまは、ふんと鼻をならして今の小さな身体を見た。

「そんなにこの身は弱く見えるか?」

言って、扉横のクワが目にとまる。
持ち上げてみた。

「重いっ」

簡単にでそうに言ってた扉のつっかえ作業に、魔王さまはひどく苦労した。
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