月の雫[七福神大戦録]


「――つまりだ、俺達は、神の命により、“月の雫”を探しに来たという訳だ」


何だか、まだ整理しきれていない私に、黒崎が付け足した。

まるでSFの世界の話のようで、私にはピンとこない。
だけど、一つ確信した事は、彼等は人間ではなくて……

「なんだ、宇宙人じゃないんですね」

「お前……話聞いていたのか?」

いち早く反応した黒崎は、瞳を大きくさせ、呆れたように言った。


「まあまあ、黒崎君。一気に話されて、分かれと言う方が無理ですよ。申し遅れましたが、私は福禄寿(フクロクジュ)。人間名は、福山影二(フクヤマエイジ)。保健医です」


銀髪の、ストレートの腰までの髪を一つに束ねた、大人びた雰囲気を放つ男。眼鏡の奥の瞳が、優しく微笑む。


「俺は大黒天(ダイコクテン)。人間名は、黒崎志之(クロサキシノ)。お前のクラスメイトだ」


紫がかった漆黒の髪。目つきが鋭く、何かを見透かすような、そんな瞳を持つ男。そして、無愛想。


「……布袋(ホテイ)。人間名は、布川大智(ヌノカワダイチ)あんたの後輩っす」


さっきの生意気なチビ。大きな瞳は猫みたいで、一見人懐っこそう。でもコイツには、年下の可愛さをまるで感じない。鮮やかなオレンジ色の癖のある髪をいじりながら、ダルそうにしている。


「そして、俺は恵比寿(エビス)。人間名は、蛯原真(エビハラマコト)。君の先輩かな」


赤茶のふわっとしたロン毛。二重の垂れ目からは、甘い瞳が此方を覗く。ふんわりしたその髪を耳にかけながら、女の子に慣れた口調で、そう言った。


ええと、福禄寿に、大黒天、布袋、恵比寿ね。




ん……?






それって……







「七福神!?」







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