【短集・ホラー】白紙の小説
翌日。
目が覚めて、
リビングへ入る。
今日は学校が休みなので何もすることが無い。
休日と言っても、お母さんが出かけてしまうので僕は家に居なきゃいけないのだ。
リビングには、もう起きて朝食をとっているお母さんがいた。
パンの芳ばしい香りが広がっている。
でも、僕には何も食べさせてはくれなかった。
残り物や、賞味期限の切れた物しかくれないが、それでも僕は喜んで食べた。
お母さんはテレビを見ながらパンを頬張っている。
僕はお母さんから離れた小さな椅子に腰掛けた。
そこがリビングで、僕に用意された場所だ。
リビングで、お母さんの視界に僕が映るとお母さんが怒って僕を殴る。
だから、この椅子はお母さんの視界には映らない場所にあった。
「凄いわね」
お母さんが、本当に小さく呟いた。
僕はその声に反応して、お母さんの見ているテレビを見た。
僕がテレビを見るのは許されなかったけれど、今はお母さんは気付いていないから見た。
テレビでは、
ニュースが流れていた。