愛しい遺書
「そーなの?聞いたことない」
「足りない!って言われたり、取りすぎ!って言われたり……いい事ねぇよ」
翔士が笑いながら言うから、あたしもつられて笑った。
「カーテン開けてもいい?」
「いいよ」
あたしが頷くと、翔士は勢いよくカーテンを開けた。あまりの眩しさに、あたしは目が眩んだ。翔士は窓辺に灰皿を置き、煙草に火を付けると、出窓を開いた。外は子供たちの声や犬の鳴き声で賑わいでいた。
「賑やかだね」
あたしは外の様子が見たくなって窓に近寄った。
「今日、日曜だからな」
煙草の煙を大きく吐き出しながら翔士が言った。あたしは翔士が吸っている煙草を一口貰って吸い込むと、翔士の真似をして煙を大きく吐いた。頬杖をついて漠然と外の景色を眺めていると、あたしの眠気を誘うように暖かい風が前髪を擽った。あたしは目を閉じて、風の悪戯を楽しんだ。
「……キレイだな」
翔士は煙草を消しながらボソッと呟いた。
「何?どれ?」
あたしは体を乗り出して外を見た。
「違うっつーの!キキがキレイだって言ったの」
風のせいであちこちに跳ねた前髪をいじりながら翔士が言った。
「髪も化粧もグチャグチャなのに?」
「そんなのカンケーねぇよ」
そう言うと翔士はキスをした。
「今何時……?」
計を見ると午前8時を回ったばかりだった。
「……寝るか?」
あくびをしたあたしを察するように翔士は言った。あたしは頷き、下着だけは付けようと手に取ると、翔士に取り上げられた。
「ずっと見てたいの!」
そう言って翔士は先に横になると、自分の左側をポンポンと叩いた。あたしはすっかり心を許し、翔士の隣に滑り込んだ。
噛み付かないでね……。
あたしは翔士の左肩に棲む龍にお願いして、頭を乗せた。
どれくらい時間が経ったのか、窓の外から子供の泣き声がして目が覚めた。起き上がり窓から覗くと、転んだのか、女の子が膝を擦りながら泣いていた。あたしは煙草に火を付け、その女の子を見ていた。
翔士が気持ちよさそうに寝返りしたが、意気なり慌てたように起きた。
「足りない!って言われたり、取りすぎ!って言われたり……いい事ねぇよ」
翔士が笑いながら言うから、あたしもつられて笑った。
「カーテン開けてもいい?」
「いいよ」
あたしが頷くと、翔士は勢いよくカーテンを開けた。あまりの眩しさに、あたしは目が眩んだ。翔士は窓辺に灰皿を置き、煙草に火を付けると、出窓を開いた。外は子供たちの声や犬の鳴き声で賑わいでいた。
「賑やかだね」
あたしは外の様子が見たくなって窓に近寄った。
「今日、日曜だからな」
煙草の煙を大きく吐き出しながら翔士が言った。あたしは翔士が吸っている煙草を一口貰って吸い込むと、翔士の真似をして煙を大きく吐いた。頬杖をついて漠然と外の景色を眺めていると、あたしの眠気を誘うように暖かい風が前髪を擽った。あたしは目を閉じて、風の悪戯を楽しんだ。
「……キレイだな」
翔士は煙草を消しながらボソッと呟いた。
「何?どれ?」
あたしは体を乗り出して外を見た。
「違うっつーの!キキがキレイだって言ったの」
風のせいであちこちに跳ねた前髪をいじりながら翔士が言った。
「髪も化粧もグチャグチャなのに?」
「そんなのカンケーねぇよ」
そう言うと翔士はキスをした。
「今何時……?」
計を見ると午前8時を回ったばかりだった。
「……寝るか?」
あくびをしたあたしを察するように翔士は言った。あたしは頷き、下着だけは付けようと手に取ると、翔士に取り上げられた。
「ずっと見てたいの!」
そう言って翔士は先に横になると、自分の左側をポンポンと叩いた。あたしはすっかり心を許し、翔士の隣に滑り込んだ。
噛み付かないでね……。
あたしは翔士の左肩に棲む龍にお願いして、頭を乗せた。
どれくらい時間が経ったのか、窓の外から子供の泣き声がして目が覚めた。起き上がり窓から覗くと、転んだのか、女の子が膝を擦りながら泣いていた。あたしは煙草に火を付け、その女の子を見ていた。
翔士が気持ちよさそうに寝返りしたが、意気なり慌てたように起きた。