愛しい遺書
「これでもいい?」
翔士は箱に入ったままのボクサーブリーフを持ってきた。あたしは何もなかったように携帯を閉じた。
「それ、新しいヤツじゃん。いいの?」
「いいよ。サイズ間違って買ってずっと投げてたし」
「ありがと」
片付けが終わり、一息つくと翔士は風呂場に行き、お湯の溜まり具合を確認すると戻ってきた。
「いいよ。先入って」
「ううん。あたし後でいい」
「そ?じゃあ入ってくるわ」
「うん」
翔士はリビングを出た。脱衣室のドアが閉まるのを確認すると、あたしは携帯を開き明生に発信した。
コール5回目。
「もしもし」
明生は出た。
「キキ。」
「……お前さぁ、いつになったら帰ってくんの?」
「……いつって、まだ1日も経ってないよ……」
「だっけ?……帰って来ねぇの?」
「……明日帰るよ……」
「やだ。迎えに行く」
「あっそ」って言われるハズなのに、予想外な言葉にあたしは戸惑った。
「……何かあったの?」
「……頭痛ぇ」
「何で?」
「二日酔いなの!」
「……もしかして、薬?」
「そう!」
「………リビングのソファーのトコに棚あるでしょ?」
「……うん」
「そこの真ん中の棚ん中に薬箱あるから……」
「ホント帰って来ねぇの……?」
「……明日帰るから……」
「あっそ!バカキキ」
電話は切れた。あたしは明生の態度が理解できずに困った。家を空けたのは初めてではない。不在だからといって、明生を困らせた事もない。気持ちを落ち着かせる為に煙草に火を付けたが、全く無意味だった。
20分程で翔士は戻ってきた。
「いいよ」
上半身裸の翔士に飼い馴らされている龍があたしを見下ろしていた。あたしの頭の中を見透かしているようで、あたしは目を反らしてしまった。着替えを持ち、翔士に声をかけると風呂場に向かった。
メイクを落とし、頭を洗い、体を洗っている間中、頭の中は明生でいっぱいだった。お湯に浸かり膝を抱くと、あたしは顔をお湯の中に埋めた。
……ウズラ。
頭の中を浄化したかったのに、逆にダメージを受けた。
翔士は箱に入ったままのボクサーブリーフを持ってきた。あたしは何もなかったように携帯を閉じた。
「それ、新しいヤツじゃん。いいの?」
「いいよ。サイズ間違って買ってずっと投げてたし」
「ありがと」
片付けが終わり、一息つくと翔士は風呂場に行き、お湯の溜まり具合を確認すると戻ってきた。
「いいよ。先入って」
「ううん。あたし後でいい」
「そ?じゃあ入ってくるわ」
「うん」
翔士はリビングを出た。脱衣室のドアが閉まるのを確認すると、あたしは携帯を開き明生に発信した。
コール5回目。
「もしもし」
明生は出た。
「キキ。」
「……お前さぁ、いつになったら帰ってくんの?」
「……いつって、まだ1日も経ってないよ……」
「だっけ?……帰って来ねぇの?」
「……明日帰るよ……」
「やだ。迎えに行く」
「あっそ」って言われるハズなのに、予想外な言葉にあたしは戸惑った。
「……何かあったの?」
「……頭痛ぇ」
「何で?」
「二日酔いなの!」
「……もしかして、薬?」
「そう!」
「………リビングのソファーのトコに棚あるでしょ?」
「……うん」
「そこの真ん中の棚ん中に薬箱あるから……」
「ホント帰って来ねぇの……?」
「……明日帰るから……」
「あっそ!バカキキ」
電話は切れた。あたしは明生の態度が理解できずに困った。家を空けたのは初めてではない。不在だからといって、明生を困らせた事もない。気持ちを落ち着かせる為に煙草に火を付けたが、全く無意味だった。
20分程で翔士は戻ってきた。
「いいよ」
上半身裸の翔士に飼い馴らされている龍があたしを見下ろしていた。あたしの頭の中を見透かしているようで、あたしは目を反らしてしまった。着替えを持ち、翔士に声をかけると風呂場に向かった。
メイクを落とし、頭を洗い、体を洗っている間中、頭の中は明生でいっぱいだった。お湯に浸かり膝を抱くと、あたしは顔をお湯の中に埋めた。
……ウズラ。
頭の中を浄化したかったのに、逆にダメージを受けた。