愛しい遺書
『お前だけは笑ってて……』
明生が言った言葉を思い出して切なくなった。できる事ならあたしは明生の傍で笑っていたい。でも明生は望んでいない。あたしが誰かのモノになった時、それが幸せだと明生に笑って話せる日が来るのか、今のあたしには想像もつかない。
湯から上がり、シャワーで体を流すとバスルームを出た。体を拭き、翔士が用意してくれたボクサーブリーフを履きTシャツを着ると、シャツの裾は太股を半分隠した。あたしはショーパンを手に持って脱衣室を出た。
リビングに行くと翔士は煙草をふかしながらドライヤーで頭を乾かしていた。
「お風呂ありがと。ショーパン返す」
「いらね?あ……シャツでけぇな」
「うん。お湯捨てていいの?」
「いいよ。オレやるから」
「……乾かしてあげようか?」
「いいの?じゃあ、あと毛先だけ」
「うん」
あたしはいつものように乾かし始めた。明生より太く、でも明生の髪より半分の長さの翔士の髪。明生より筋肉質で、色とりどりの皮膚を覆った翔士の背中。時々指が触れると、擽ったそうに鳥肌を立てる翔士の背中。あたしは真面目に髪を乾かしながらも、時々翔士の鮮やかな背中にわざと触れた。
翔士の髪は20分程で全部乾いた。あたしはそのままドライヤーを借り、自分の髪を乾かした。「乾かしてやるか?」と翔士は言ったが、あしは「大丈夫」と言って断った。あたしの髪を悦ばせる事ができるのはきっと明生しかいない。
乾かし終えると翔士はあたしからドライヤーを受け取り、冷えたビールを差し出した。あたしは「ありがとう」と言って貰い、プルタブを開けるとビールを口に運んだ。
「キキ、ケーキ食わね?」
「うん。いいよ」
あたしの返事を聞くと、翔士は張り切ってキッチンからケーキの入った箱を持って来た。テーブルの上で葢を開け、ソファーに並んで座るといただきますをした。翔は大きな口を開けて三口でケーキを食べた。あたしが半分食べた頃、翔士は2個目のケーキを食べおわった。
「……あたし今日食べ過ぎだな……」
あたしはケーキの上に乗っているイチゴのヘタを取りながら言った。
明生が言った言葉を思い出して切なくなった。できる事ならあたしは明生の傍で笑っていたい。でも明生は望んでいない。あたしが誰かのモノになった時、それが幸せだと明生に笑って話せる日が来るのか、今のあたしには想像もつかない。
湯から上がり、シャワーで体を流すとバスルームを出た。体を拭き、翔士が用意してくれたボクサーブリーフを履きTシャツを着ると、シャツの裾は太股を半分隠した。あたしはショーパンを手に持って脱衣室を出た。
リビングに行くと翔士は煙草をふかしながらドライヤーで頭を乾かしていた。
「お風呂ありがと。ショーパン返す」
「いらね?あ……シャツでけぇな」
「うん。お湯捨てていいの?」
「いいよ。オレやるから」
「……乾かしてあげようか?」
「いいの?じゃあ、あと毛先だけ」
「うん」
あたしはいつものように乾かし始めた。明生より太く、でも明生の髪より半分の長さの翔士の髪。明生より筋肉質で、色とりどりの皮膚を覆った翔士の背中。時々指が触れると、擽ったそうに鳥肌を立てる翔士の背中。あたしは真面目に髪を乾かしながらも、時々翔士の鮮やかな背中にわざと触れた。
翔士の髪は20分程で全部乾いた。あたしはそのままドライヤーを借り、自分の髪を乾かした。「乾かしてやるか?」と翔士は言ったが、あしは「大丈夫」と言って断った。あたしの髪を悦ばせる事ができるのはきっと明生しかいない。
乾かし終えると翔士はあたしからドライヤーを受け取り、冷えたビールを差し出した。あたしは「ありがとう」と言って貰い、プルタブを開けるとビールを口に運んだ。
「キキ、ケーキ食わね?」
「うん。いいよ」
あたしの返事を聞くと、翔士は張り切ってキッチンからケーキの入った箱を持って来た。テーブルの上で葢を開け、ソファーに並んで座るといただきますをした。翔は大きな口を開けて三口でケーキを食べた。あたしが半分食べた頃、翔士は2個目のケーキを食べおわった。
「……あたし今日食べ過ぎだな……」
あたしはケーキの上に乗っているイチゴのヘタを取りながら言った。