Advance
一方、店内はいつもに増して客が少なかった。

『今月は赤字か・・・はぁ、また地獄のカップラーメン生活か・・・』
マスターはため息をつきながら店内の様子を見ていた。
客は少なかったが、各テーブルのホストと客はそれなりに盛り上がっている。

いつもの光景

いつもの歓声―――



まさか、自分を殺そうとする者が混じっているとは知らずに―――







少し離れた場所から標的を見る。


気づかずに店内を見回したり、常連客と会話をしている・・・


大丈夫、気づかれない・・・


この一撃で終わらせる―――


この銃で脳天を貫けば―――





殺意の源であるその人は鞄の中から小さな銃を取り出した。

護身用で女性でも扱えるような小さな形状―――


だが、それでも撃てば死に至るだろう―――


銃を構えた―――


狙う先はマスター・・・



『死・・・』

シュンッ

バシィィィ!!!

「っ!!!」

ガシャン!?

銃が床に落ちる音と苦痛を漏らす声がその場に残った。
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