Advance

「って、何、ウチのガキ共にちょっかいだしとるんじゃあああぁぁぁ！！！」
僕は死を覚悟した直後だった。
突然、女性にしては野太く、たくましい叫び声が僕の恐怖をかき消した。
「ひっ・・・」
「あー・・・」
「ま、マスター・・・」
女性は怯え、裂君は唖然とし、僕は目を見開いた。
「はああぁぁ！！！」

バキィイ！！！

「ぐはぁ！？」
順を追って説明すれば、人質に取られた僕に気づいたマスターはすぐさま駆けつけ、相手の有無を言わさず顔面に蹴りを入れたのだった・・・

ガンッ！？ドサッ

女性は店の壁まで吹き飛び、倒れた。
そして、その現場を裂君を始め、ホストやお客さんまで唖然として見ている。
「ったく、事件を起こすんなら他所でやれ！？これ以上、剛の世話になんてなりたくないのに・・・」
ハァっとマスターはため息をつきながら何気に吹き飛ばした女性の頭をグリグリ踏み躙っている。
それを見た裂君は何気に呟いた。
「じょ・・・女王様・・・///」
「・・・おい、そんな言葉、何処で覚えた？」
ジロリとマスターは裂君を睨んだが、心の読める僕には分かった。
ホスト達やお客までマスターの事を「女王様」と呟いた事を・・・
「で、お前ら何してたんだ？ナイフ突きつけられてたけど・・・あ、銃まで・・・」
「ま、マスター・・・警察を呼びましょうか・・・？」
命を狙われた当の本人は一番呑気にそう呟く。
ホストの一言で警察を呼ぶ事になったが、何気に裂君は呟いた。
「・・・なあ、俺等の助けは必要なかったんじゃ・・・」
「それは言わない方がいいって。」
そんな訳で数分後に警察が駆けつけてその場は丸く収まった。


だけど、僕の中ではまだ何も終わっていない・・・