身代わり姫
「パメラ様、如何なされた。
それに、妖精に愛でられた娘とは一体?」


「ふん、領主殿はご存知ないか」


パメラは愚かな領主に、子どもにいい含めるようにして言いました。


「妖精というのはね、純真で、汚れのない乙女だけが、その姿を見つけられるのだよ。
そして妖精を見つけ、妖精に祝福された娘だけが妖精に愛でられた娘と呼ばれる。
娘は妖精の美しさを分け与えてもらい、甘い香りが匂い立つ、魅力的な女へと成長するのさ。今じゃあ、若い女の貞操を守らせるための体のいい話になってるがね」


「では、パメラ様はあの女の娘がその、妖精に愛でられた娘だと?」


「ああ。妖精はその証に宝石を一つくれる。それが妖精の涙だからね」


領主はほぉ、と貧相なあごひげをしごきました。その顔が好色そうな笑みを浮かべます。


「妖精から分け与えられた美しさ、ですか。それはぜひ見たいものですなあ」


パメラは眉間に深いシワを寄せました。下世話な者よ、そんな目でしか見られぬとはの。

しかし領主はシワまみれの魔術使いの表情の変化には気がつかずに話を続けました。

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