からんころん
やがて日も沈み、街は賑わい、周りの店は次々に開店する中、実果子が監禁されたこの店は、閉まったままだった。
「今日定休日だった?」
「おっかしいなぁ…」
訪れる客は首を傾げながら階段を上がっていくのを、晴紀は何人も見ながら、まだドアが開くのを待っていた。
「お兄ちゃん…まだいたの?」
「千夏…もう帰れって言っただろ」
「だって…。お兄ちゃん、私のこと怒ってる…?」
「怒ってない」
「うそ!」
「そこは通り越して呆れてる」
「う……」
「…素直になれよなぁ」
しばらくすると、誠也がやってきた。
「晴さん、やっと見つけた」
「誠也。来てくれたのか…」
「まぁ…暇だったし?あいつ…まだ出てこねぇんだ」
「ああ…」
「中でどんなことになってんのかな…大丈夫なのか!?ほっといてただ待ってるだけなんて…。こんなドア壊してっ」
抑えていた感情がだんだんとあらわになり、誠也は興奮している。
「落ち着け、誠也!」