からんころん
実果子がここにいることを。
「あ、お客さんてお兄さんと誠也くんだったんだ!いらっしゃいませー」
「何がいらっしゃいませだよおめぇ!黙っていなくなりやがって…見てみろ!晴さんこんなにやつれちまったじゃねぇか!」
「ちょっ、誠也!何言ってんだよ…!」
「私もいるよ~」
「千夏…!?」
実果子と千夏は2人してそば屋でバイトしていた。
「ごめんなさい、黙って帰って連絡もしないで…。なんか恥ずかしくて」
「お兄ちゃん、怒らないであげてね」
「無事でいてくれたんだ。怒るわけないだろ」
「夜逃げしたって聞いた時にゃ身の毛もよだったんだぞ、なぁ?で、今どこにいるんだ?」
「は?」
「は…?」
それは根も葉もない噂話だった。
「あはははは」
「あははじゃねぇよおめぇ!」
「ごめんごめん。親はここ1ヶ月以上祖父母のとこに行ってて、私も暗いうちに出て帰ってるからひと気がなかったからね。そんな噂たってるって親に電話しとこ」
「電話!電話はなんで出なかったんだ?」