からんころん

後ろから誠也の腕を、晴紀が掴み上げた。



「実果子ちゃん、休憩終わり」

「はい…。じゃあね」



晴紀は実果子を席に連れ戻した。


とっても短い休憩だった。



ーーまた…どこかで会えるかな…?










「いってぇ…」



誠也が帰ろうと図書館を出た時、千夏が戻ってきてバッタリ会った。



「おう、おめーの兄ちゃんすげぇ力だな」

「…なんのこと?」

「真っ黒だし…、何だよあれ?はっはっはっ」



誠也は高笑いをしながら歩いていった。



「ちょっと待ってよ!お兄ちゃんの悪口言うなんて許せない!」



カッときた千夏は誠也を追った。

誠也は振り返り、千夏を睨んだ。



「な…なによ!」

「おめーのしたことの方が許されねぇんじゃねぇの?」









閉館の時間がきた。



「千夏ちゃん戻ってこなかったですね…」

「あとで叱っとくよ」

「そんな、叱らないであげて?」






千夏は次の週、図書館には来なかった。

そして、その次の週も…



実果子は心配していた。
電話もつながらないし、メールの返事もない。



「千夏ちゃん…元気ですか?」



< 46 / 227 >

この作品をシェア

pagetop