からんころん
後ろから誠也の腕を、晴紀が掴み上げた。
「実果子ちゃん、休憩終わり」
「はい…。じゃあね」
晴紀は実果子を席に連れ戻した。
とっても短い休憩だった。
ーーまた…どこかで会えるかな…?
「いってぇ…」
誠也が帰ろうと図書館を出た時、千夏が戻ってきてバッタリ会った。
「おう、おめーの兄ちゃんすげぇ力だな」
「…なんのこと?」
「真っ黒だし…、何だよあれ?はっはっはっ」
誠也は高笑いをしながら歩いていった。
「ちょっと待ってよ!お兄ちゃんの悪口言うなんて許せない!」
カッときた千夏は誠也を追った。
誠也は振り返り、千夏を睨んだ。
「な…なによ!」
「おめーのしたことの方が許されねぇんじゃねぇの?」
閉館の時間がきた。
「千夏ちゃん戻ってこなかったですね…」
「あとで叱っとくよ」
「そんな、叱らないであげて?」
千夏は次の週、図書館には来なかった。
そして、その次の週も…
実果子は心配していた。
電話もつながらないし、メールの返事もない。
「千夏ちゃん…元気ですか?」