からんころん
「千夏ちゃん兄妹を待ってるの。へへへー、今日と明日千夏ちゃんたちと遊びに行くんだー」
「へぇー、受験生がいい身分だな」
「息抜きだって必要だよー。そういう誠也くんだって…」
「なんだよ?」
「誠也くん、本当に受験しないの?」
「うっせえな!何だよ急に…関係ないだろ」
「う…ごめん…」
相変わらずそっけない態度だ。
「…誠也くんはこれからおでかけ?」
「…………」
誠也は黙っている。
機嫌を損ねてしまった…と、実果子はハラハラしていたが…
「俺は……俺は今からさすらいの1人旅に行くんだ」
「は…?…ははははは」
誠也のかっこつけた言い方がおかしくて、緊張も解け、実果子は笑いだして止まらなくなった。
「何がそんなにおかしいんだよ!」
「ごめん!だって……、さすらっちゃうんだ」
「おう。そういうことだ。じゃあな!」
「あ、待って…」
思わず実果子の口から出た。
別にひきとめる理由なんて、なかった。
「…何だよ?」
「えっ…と………」