君色 **空色**
彼は私の目の前までやってくると、しゃがんで私の目線と同じ高さに自分の目線を持ってきた

ゆっくりと伸びてきた手が私の髪に触れた瞬間、思わず体がビクリと反応してしまう


「岩崎…くん…?」


声を絞り出しながら、それだけ口に出す


『これは……これは、キスされる!?』


そう感じてキュッと目を閉じた瞬間


「翔太~広子さんが呼んでるわよ!楠木さん泊まってくでしょ?って張りきってたけど…」


突然、部屋のドアが開いたかと思うと、見知らぬ綺麗な女性が顔を覗かせた

その瞬間に、彼はサッと私から身を離す

先ほどの出来事に心臓が高鳴っている中、私は遅ればせながら、その女性の言葉がようやく脳まで届き、言葉の意味を理解する


「えっ!私泊まるんですか!?」


戸惑う私の隣で、彼も「義姉さん、それマジ?」と呟いている

『お姉さんさんなんだぁ』と場違いな事を一瞬私が考えた瞬間、そのお姉さんも呆れたように「マジ…」と呟いた


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