君色 **空色**
「それじゃ、ここまででOK♪右足出して」


突然そう言いだした彼は、私の前にしゃがむと、戸惑う私の足からスキー板を外していった

自分の板と重ねて持つと、彼は「ついといで」と私を手招きした

スキー場のコースから少し離れたところ

どこに行くのだろうかと少し怪訝に思いながら私がついて行くと、そこにあったのは私の想像を超えるものだった

木々を抜けて、見えてきたその建物


「これって……教会!?」


驚いて叫んだ私の目の前に広がっているのは、氷と雪で出来た教会だった

ライトアップされたその建物は、より一層に美しさを引き立てているように見える


「さっき滑ってる時に見つけてな!その時はちょうど式やってたんだけど……聞いたら今夜はもう式は入ってないらしくて……」


彼の言葉に驚いて、私は真顔で見つめ返してしまう

瞼をパチパチとさせて、放心状態に陥っている私に、彼は苦笑しながら「何か反応してよ……不安になるんだけど!」と頭をかいた


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