紺碧の地図
街の名前は、ミュレ。
この街は大きな塀に囲まれていて、砂嵐から街を守るためだとゼンが言っていた。
足下は凝った装飾の床で、砂漠にある街だとは思えない。
建物は丸みを帯びたものが多く、どの建物もしっかりとした造りだった。
行き交う人々は、みんな大きめのスカーフを首に巻いている。
「…はぐれるなよ」
物珍しげにきょろきょろと辺りを見渡す私に、ゼンが注意を投げ掛けた。
「だ、大丈夫だよ!みんなもいるし」
Queen号を港に停めた私たちは、船を降り、ぞろぞろと街中を歩いている。
この人数が固まって歩いているせいか、街の人々から好奇の視線を浴びせられていた。
それにしても…
「あっち―――…」
みんなの気持ちを代弁したかのように、レキが喘いだ。
砂漠にある街だけあって、照りつける太陽の威力は凄まじく、身体中の水分が奪われていく。