紺碧の地図
砂漠専用の船。
海を走る船と、特に変わるところはないように見えるけど…
「―――アルザ様!!」
突然、鋭い叫び声が上がった。
私たちは驚いて、声のした方を振り返る。
「離せっ!わたしは一人で帰るのだっ!」
「バカなこと仰らないで下さい!そんな危ないことはさせられません!!」
一人の少女と、一人の青年が揉めていた。
少女は艶やかな紫色の髪をしていて、腰の長さで真っ直ぐに切り揃えられている。
前髪も同じように切り揃えられ、顔のサイドにかかる髪だけ少し長い。
複雑な絵が描かれた、大きな球状の髪飾りをつけている。
「ええい、離せと言っているだろう、ロイ!」
ロイと呼ばれた青年は、前髪を中央で分けていて、茶色の髪は襟足が長めに伸ばされている。
その手は、がっちりとアルザという少女の細い手首を掴んでいた。
「何だ何だ?ケンカか?」
レキが眉をひそめ、その二人を交互に見た。