紺碧の地図
ピクッ、とアルザは反応すると、ゆっくりと顔を上げた。
「…知って、た?」
「はい。全部です」
「ぜん、ぶ…」
ロイの言葉をただ繰り返すアルザは、わけがわからないような顔をしていた。
ロイは苦笑すると、手を伸ばし、アルザの涙を拭った。
「アルザ様が盗賊と仲良くしていたことも、そのアジトがここだということも、嘘の誘拐を計画していたことも」
「………」
「俺を遠ざけようとしていたことも、全部です」
アルザは言葉が見つからないのか、ただじっとロイを見つめていた。
「…アルザ様。俺は、あなたに必要とされたかったんです」
「……え…」
「いつも、あなたは俺に頼ろうとはしませんでした。俺は、それが嫌だったんです」
はは、と弱々しく微笑んだロイを見て、アルザは唇をきゅっと結んだ。
そして、
「…やっぱり、馬鹿だ」
と呟いた。