紺碧の地図
ロイは眉根を寄せ、アルザを見る。
「…俺がいつ、仕方なく護衛をしてると言ったんです?」
「………」
「俺はあなただから支えているんです。アルザ様」
「…ロイッ…」
瞳から大粒の涙が溢れるのと同時に、アルザはロイの胸に飛び込んだ。
「よかった…っ。無事で、よかった…!」
「…俺も、嫌われてなくて…良かったです」
大声で泣き叫ぶアルザの背中を、ロイはホッとしたような表情で撫でていた。
仕方なく護られていると思い込み、頼ろうとせず、逆に遠ざけようとしたアルザ。
必要とされたかったのに、嫌われていると思い込み、言葉にできなかったロイ。
お互いが大事で。
でも、一歩踏み出すのが怖くて。
肝心なところで、すれ違ったままの二人の心。
それが今…やっと通じた。
やっと、一歩を踏み出せたんだ。