紺碧の地図

「…ありがとう、レキ」


「ん」


少しだけ照れたように笑うレキを見て、私も笑顔を向けた。


…ただ。


私の心の裏には、ある感情がへばりつく。



確かに、ゼン、レキ、ニーナ…みんながいてくれるのは、嬉しいの。


でもね、本当にそばにいて欲しいひとは、今ここにいない。



私が一番そばにいて欲しいと思うのは、あなただけなの。



…そんなふうに考えてしまう私は、何て酷いんだろう。


「さ、行こーぜ。ララちゃん」


「…うん」


レキに手を引かれ、私たちはまた歩き出した。



ありがとう。


…ごめんね。



そんなことを考えていたせいかもしれない。


過去のことを、思い出していたせいかもしれない。



背中の傷跡が、ずきりと痛んだ。





けどその痛みは、これから始まる出来事を…


予期していたのかもしれなかった。





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