紺碧の地図
「…ゼンは?」
私のこの一言に、二人は揃って私を振り返った。
「…なに、一緒じゃなかったの?」
「や、途中まで。何だアイツ、まだ帰って来てねぇの?」
眉をひそめ、不審がる二人に、私も不安を覚えた。
―――そんなとき。
「おい、あれ…何だ?」
誰かが呟いた言葉。
船にいた私たちは全員、その言葉の向けられた方向を見た。
「………煙?」
ニーナが首を傾げ、そう言ったあとすぐに、誰かの焦った声が響く。
「みんな、聞け!ゼンから連絡が入った!」
がやがやとした話し声は、ゼンの名前が出た瞬間に、ピタリと止まった。
「…フォーグが、燃えてる!」
静まり返っていた空気に、緊張が走った。
―――燃えてる。
私の瞳に映る、灰色の煙。
それは燃え盛る炎に煽られ、天へと昇っていく。