紺碧の地図
「…この状況を楽しむな、馬鹿」
「たっ!? 楽しんでねぇよ、不謹慎なっ!ただ、俺は体を動かしたいだけ…」
「はいはい」
レキの言い訳を適当に流し、俺は船員たちに目を向けた。
一通り顔を見渡して…あいつがいないことに、安心した。
「…で?」
「で?」
俺が訊ねると、レキが眉をひそめて訊き返してくる。
「…何か解決策あるんだろ」
俺のその一言に、ぐっ、と喉を詰まらせたレキ。
「やー…、そのー…」
冷や汗は垂れてるし、目は泳いでるし。
何も考えずに来たの、バレバレ。
…ま、期待はしてなかったけど。
「…は―――…」
あからさまなため息を漏らし、俺は再び炎へと視線を移した。
衰えることを知らない炎が、街を真っ赤に染めてしまうのは、時間の問題だ。
目を細め、唇を噛んだ俺の耳に、小さな声が届く。