紺碧の地図
「―――…ン…」
…は?
そんな、馬鹿な。
「――ゼ――…ン…」
次第にはっきりと聞こえてくる声と、その姿。
見間違いなんかじゃない。
「ゼ―――ンッ!!」
駆け足でこっちに向かう、ふたつの人影は…
「ララちゃん…ニーナ!?」
隣で目を見開くレキが、名前を口にした。
「ちょっ…、何で!?」
どうやら、この二人の登場を予想もしていなかったのは、俺だけじゃないらしい。
「ゼン!大丈夫?」
腰まである赤茶の髪を揺らし、息を切らしながら、人魚の…ララが近寄って来て、そう俺に訊ねた。
「…大丈夫って…。俺は、何ともないけど」
俺の心配をしていることを不思議に思いながらもそう返すと、ララは真剣だった表情を、少しだけ和らげた。
「よかった…。って、よくないよね!?」
辺りを見渡して、また慌て出したララに、俺は苦笑した。