月影
「葵ちゃんはどうしてるかなぁ?」
「…わかんない。」
実家に戻ったという話を人に聞いて以来、その後は知らされていない。
連絡を取ることもなく、向こうからも音沙汰がないのだ。
第一あの葵に、ホストと付き合ってるなんてことも言えないし。
「サキちゃんは?」
「トオルさんの他にも、別のお店でお気に入りクン見つけたんだって。」
「ははっ、それは良いことだ。」
何だかんだ言っても、拓真は今もトオルさんに負けたくはないらしい。
そして「サキちゃんは相変わらず元気そうだなぁ。」と笑う。
「キングス行ってみたいって言ってたよ?」
「じゃあ、俺を指名してもらえるとありがたいんだけど、って言っといて。」
瞬間、目を見開いた。
すぐに拓真は「嘘だよ!」と笑うが、背筋に嫌な汗が伝うのを感じた。
彩と影で連絡を取り合っていたジルのことを思い出し、拓真まで、と思ったから。
「さすがにそれ、笑えない。」
ありえないけど拓真とサキちゃんが連絡を取るということは、裏切りに近かった。
仕事だとわかっていても、急に怖くなる。
ジルと重なる拓真は嫌だ。
「…わかんない。」
実家に戻ったという話を人に聞いて以来、その後は知らされていない。
連絡を取ることもなく、向こうからも音沙汰がないのだ。
第一あの葵に、ホストと付き合ってるなんてことも言えないし。
「サキちゃんは?」
「トオルさんの他にも、別のお店でお気に入りクン見つけたんだって。」
「ははっ、それは良いことだ。」
何だかんだ言っても、拓真は今もトオルさんに負けたくはないらしい。
そして「サキちゃんは相変わらず元気そうだなぁ。」と笑う。
「キングス行ってみたいって言ってたよ?」
「じゃあ、俺を指名してもらえるとありがたいんだけど、って言っといて。」
瞬間、目を見開いた。
すぐに拓真は「嘘だよ!」と笑うが、背筋に嫌な汗が伝うのを感じた。
彩と影で連絡を取り合っていたジルのことを思い出し、拓真まで、と思ったから。
「さすがにそれ、笑えない。」
ありえないけど拓真とサキちゃんが連絡を取るということは、裏切りに近かった。
仕事だとわかっていても、急に怖くなる。
ジルと重なる拓真は嫌だ。