テディベアは痛みを知らない
「僕が逢わせたいって言ったの、そいつなんだけど……おかしいな、いない」

と、彼が空の椅子に腰かけた時、だれかが、ドアをノックした。

一緒に、「お褒めに与りどうも」という声。

振り返ったそこに、黒髪の男子がいた。

シワだらけのシャツに、緩みきったネクタイ。

くしゃくしゃの黒髪に、目の下には寝不足証明書の大きなクマが。

「んで、お前だれなわけよ?」

訊ねてきながら、黒髪男子が入ってくる。

その手には、なんて似合わないんだろう、真っ白いテディベアが乗っていた。

栗毛の彼がひらりと手をあげる。

     ソウマ
「おかえり壮馬、どこ行ってたの?」

「被服教室。ちょっと綿が足らなかった」

「あ、じゃあそれもう完成?」

「ああ、背中縫い付け直せばな。一応こっから装飾に入るし」

壮馬という男子は私の横を抜け、彼の対面にある椅子に腰かけた。

針山に刺さってた針を持った手が、ぴ、と私を指す。

「それでユウ、この突っ立ってる女、だれだよ。マネキンのわりには喋ったりしてたぞ」

ま、マネキ……
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