魔王に忠義を
大体の仕事は理解した。

つまり秘密結社が俺に与えた仕事は、ナハト・リアリーとアキラ・ウェズリーの抹殺。

加えて討竜の剣の奪取といったところか。

「物分かりがよくて助かりますよ、Ⅵ番ヴァン・アルナーク」

…このハニワ、絶対にわざと言っているな。

まぁこの場で斬り散らしたところで只のゴーレムだ。

無駄な事はしない。

「それでは…確かに伝えましたよ。無事に任務を果たせるように祈っています」

そう言い残してハニワは元の土くれへと戻っていった。

…ドーラを救った英雄様二人の抹殺か。

彼ら二人が命を奪われたとなれば、ファイアルとドーラ、二つの民はさぞや悲嘆にくれる事だろう。

俺が両親を失ったあの日のように。

…胸に小さく復讐の炎が灯る。

アキラにナハトか。

まだ若いし、彼ら二人に直接の怨恨がある訳ではない。

だが共にファイアル人とドーラ人。

俺の復讐の対象だ。

悪いが死んでもらうとしよう。

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