魔王に忠義を
逆に言えば、だ。

それ程脅威的な汚竜を仕留めたナハト…いや、ナハトの連れてきた少年狩猟者。

彼は恐るべき素質を秘めた人材と言える。

名は確か、アキラ・ウェズリー。

六英雄の一人と同じ名を持つ少年。

「それだけではありません。彼の持つ討竜の剣…あれ程の魔物を仕留める業物ならば、或いは封印された魔王にも効果を発揮するかもしれません。更にはそれ程の業物を作り上げたナハト・リアリー…彼女の技術は危険です。やがてこの世界に現れるかもしれない『新たなる英雄』に、彼女の鍛えた剣が渡ったりしたら…」

「英雄?ハッ」

俺はハニワの言葉を一笑に付した。

この秘密結社の使いは、そんな事を本気で考えているのか。

まぁ魔王崇拝、魔王復活などというお題目を本気で唱える連中だ。

英雄を脅威として考えるのも不思議ではないか。

「脅威は若い芽のうちに摘んでおく…それが最良とは思いませんか?Ⅵ番ヴァン・アルナーク」

「いちいち番号で呼ぶな」

俺は不機嫌をあらわにする。

この番号は秘密結社に参入した順番を表すものだ。

実力ならば俺は秘密結社の五本の指に入る。

あくまで番号は『仕事』の際に素性を知られない為の異名のようなものだ。

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