魔王に忠義を
俺の抜いたそれは、遠目には大剣だった。

両手持ちの刀剣。

しかし剣でいう鍔の辺りは小さな箱型になっている。

この箱の中には、ドーラの技術で小型化した2ストロークエンジンが内蔵されている。

刃の部分も剣とは異なる形状だ。

鎖状に連結した、ドーラ原産のアルマズ石製の小さな刃が、刀身に取り付けられている。

俺が箱状の部分に取り付けられたリコイルスターターを強く引くと、凶暴な音と共に2ストロークエンジンが始動。

鎖状の刃が高速で回転し始めた!

チェーンソーブレード。

それが俺の得物の名だった。

本来は森林伐採用に開発されたチェーンソーという鋸の一種。

それを軽量化、小型化した上で武器として設計し直した。

秘密結社で開発された武具である。

「機械!」

「機械!」

「ドーラ人!?」

「でもコイツファイアルの匂いもする!」

ドワーフ達が口々にわめく中。

「さぁ」

俺はブレードを構える。

「道を開けるか土の肥やしになるか…早々に選べ」



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