魔王に忠義を
如何に軽量化、小型化されたとはいえ、チェーンソーブレードはそれなりの重量がある。

並みのドーラ人が武器として扱うには過ぎたシロモノだ。

しかし、俺は幸か不幸かファイアルの血も受け継いでいる。

ハーフというのは魔法に関して言えば不利にしか働かない。

本来の民族の特性であるファイアルの炎の魔法、ドーラの土の魔法もその力を弱体化させてしまう。

だが身体能力は別だ。

ドーラの器用さとファイアルの腕力。

その二つを併せ持った俺は、このような機械兵器も自在に操るだけの能力がある。

ドワーフの振るう石斧も槍もたやすく両断し、俺は次々と彼らの戦意を削ぐ。

たじろぐドワーフ達。

エンジン音を猛々しく轟かせながら、俺はジリジリと近づいた。

「どうした…まさか武器がないと戦えないとは言うまい…貴様らドワーフは人間以上の膂力を持つのだろう?その力を見せてみろ」

もっともその力を発揮する前に、俺のブレードが八つ裂きにしているだろうが。

「く…リン…」

覚悟を決めたドワーフ。

その一人が小さく呟くのを、俺はエンジン音の中でも聞き逃さなかった。

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