魔王に忠義を
悟られぬように一定の距離を置いて。

俺は人混みに紛れてナハトの尾行を開始した。

何せこの人通りだ。

加えてナハトは戦闘向きの能力は持っていない筈。

気配を察知する事すら出来ない筈だ。

つかず離れずの距離を保ちながら歩く。

…俺のチェーンソーブレードは暗殺には向かない武器だ。

そのエンジン音、そして大振りな攻撃方法。

どうしても人目につく。

この人混みならば尚更の事。

ならばチマチマと小細工を弄するのは止めだ。

衆人環視の中ではあるが、一気にケリをつける。

静かに。

無音の動作で背中のブレードの柄を握る。

一瞬で決める。

俺は人混みの中、助走すらつけずに。

「……!」

予備動作もなく、高く跳躍した!

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