魔王に忠義を
チェーンソーブレードの刃を形成しているアルマズ石は、ドーラで産出される。

この世界で最も硬い鉱石として有名であり、アルマズを鍛えた刃は最高級品に位置する。

並みの剣では鍔迫り合いだけで刃こぼれし、半端な鎧では体ごと貫き通す。

華奢なドーラ人の娘の体など、チーズでも切るかのように両断できる。

終わってしまえばつまらない仕事だった。

…無事終わっていたのならば。

俺はブレードを振りぬこうとした瞬間。

「何やってんだお前ぇっ!」

自らの頭上から聞こえる怒号に気づいた。

見上げると、そこには大剣を振り上げた少年の姿!

何と俺よりも高く跳躍し、俺の頭上から斬撃を見舞おうとしている!

「ちぃっ!」

咄嗟に空中で体を捻り、ブレードで少年の大剣を受ける!

刃と刃が激突し、目を細めるばかりの強烈な火花が飛び散った!

高速回転するブレードの刃。

少年は空中にもかかわらず、その回転に負ける事なく剣を保持していた。

何という膂力。

お互いに打ち合いは互角のまま、通りに着地する。

悲鳴を上げて人混みが散り散りになり、通りはあっという間に閑散とする。

そんな中、俺はブレードを両手で構え、少年はナハトを庇うように立った。

「怪我はないか、ナハト!」

「アキラ…!」


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