魔王に忠義を
「はて、おかしいですね」

アインが一人呟く声が聞こえた。

「背中から一発お見舞いした筈ですが…声高らかに断末魔の悲鳴を上げてくれなければ興が削がれるというもの」

「ならば」

俺は物陰から堂々と姿を見せた。

「興に乗ってもらおうか」

「それは有り難い!」

途端に一斉射撃を敢行するアインのゴーレム達。

しかしその弾丸は全て俺の体に触れる事なく止められる。

驚くべきはアイシャの魔法の力!

俺は弾丸を意に介さぬまま、悠然とリコイルスターターを引いた。

唸り轟くエンジンの轟音。

「但し貴様自身の断末魔でな」

高速回転する刃を振りかざしつつ、俺はアインとの間合いを詰める!

突進を止めようと乱射を続けるアインだったが、最早弾丸は障壁を突破する事すらかなわない。

「どうなっているのです!魔法!?馬鹿な!貴方はハーフの平民の筈!ハッ…そうか、貴族の後ろ盾を得ましたね?そうでなければ栄光あるドーラ貴族にして秘密結社の使徒であるこの私が敗北など…!」

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