魔王に忠義を
「五本首の魔物だな、まるで」

舌打ちしながら俺は魔王の腕と距離をとる。

「汚竜だって五本も首はなかったぜ…」

勇猛果敢なアキラでさえ、臆しているかのように見えた。

だが。

「びびってんじゃないわよ、男衆!」

そこに吹き荒れる清浄なる風!

アイシャの風の魔法が、魔王の腕の動きを封じるかのように吹きすさぶ。

「腕が相手なんてどうしていいかわからなかったけど、きちんと化け物らしい姿になってくれたわ!こういうのってわかりやすくていいじゃない!」

「……」

その前向きな姿勢に感服する。

そうだ。

五指がそれぞれ魔物の首と化したならば、その素っ首を全て叩き落としてやればいい。

「アイシャ」

俺は彼女に視線を送る。

「お前はいい女だ」

「今更惚れたって無駄よ?」

軽く微笑むアイシャに笑みで応えながら。

「火の玉、続け。魔王を隻腕にする」

俺はブレードのエンジン音も勇ましく突進する!

「悪者が何を偉そうに!」

悪態をつきつつ、アキラも俺に続いた!

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