魔王に忠義を
その身をくねらせ、五指が俺とアキラを迎え撃つ。

その口から吐き出したのは、炎。

まさしく竜の如く火炎を吐き出し、俺達の接近を拒む。

しかし、その炎から俺達を守護するようなアイシャの風。

更には。

「第二射、第三射、連続発射…!」

通じないまでも、ナハトの竜滅砲も俺達を援護する。

竜滅砲の直撃を受け、動きの止まる魔王の腕。

その爆発に乗じて、俺とアキラは敵の懐に飛び込んだ!

魔王の腕が反撃に転じるまでの僅かな隙。

その隙の間に、出来うる限り数多くの斬撃を叩き込む。

「さっさと封印に戻れ!」

アキラが討竜の剣を魔王の腕に突き立てるのが見えた。

が、その背後に迫ってくる指の魔物の攻撃に気づいていない。

「後ろががら空きだ、火の玉!」

俺は咄嗟にブレードを横薙ぎに振るい、アキラに襲い掛かる指の魔物を切り払う!

手傷を負わされ、指の魔物が悲鳴をあげた。

それが気に入らなかったのか。

残る四本の指も、我先にと襲い掛かってくる。

まさしくそれぞれが意思を持った魔物。

炎を吐き、牙で食らいかかり、そのくねる体で絡めとろうとする。

何より何度斬りつけても怯まぬ、その生命力。

かつて俺やアキラが相対してきたどんな敵よりも、しぶといに違いなかった。



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