魔王に忠義を
俺はブレードを両手でしっかりと握り締め、魔王の腕へと突進した!

唸りを上げる2ストロークエンジン。

俺は吼えるブレードを構え、疾風の如き勢いで間合いを詰める。

…そんな俺に並ぶ勢いで突進する、もう一つの影。

「ヴァン、付き合うぞ」

それは討竜の剣を携えたアキラだった。

「魔物退治は俺達ファイアルの専門だ。お前よりはいい仕事をする」

「小僧が謳うじゃないか」

薄く笑みを浮かべる俺に、アキラも笑い返した。

それを最後に俺とアキラは散開。

それぞれ魔王の五指へと攻撃を繰り出す!

炎で、牙で、俺達に迎撃する魔王の腕。

しかし各民族の連合軍の攻撃により、思うように反撃する事ができない。

その間隙を縫い、アキラの討竜の剣が魔王の薬指を切断する!

俺もブレードを一閃!

小指をはね飛ばした!

地面に落ちた二本の指はのた打ち回り、白煙を上げながら消滅していく。

その光景を見て兵達の士気は更に高まる。

魔王とて不死身ではない。

人間が力を結集すれば、英雄でなくとも、魔王の片腕程度ならば撃退できるのだ。

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