心 ―ハジマリノウタ―



リヴィアは私をエメラルドの瞳で

ジッと見ると、

ふうと息を吐いて言った。




「あたしはね、生きてると思う」




その表情は悩ましげに歪み、

それでも尚、美しい。


私は灯された炎の光に

照らされるリヴィアの顔を

ただ見つめた。


伏せた瞳は何を思うのか。




「それが、あたし自身の願いなのか、

事実に基づいて推理したことなのか、

区別がつかなくなった。

居場所なんて、

考えてもわかるはずが無いんだよ。

ドレイ工場に居なかったら、

あたしらは、新たな敵に

立ち向かうことになるのかも知れない…」




確かに、ロックを攫ったのが

ドレイ側ではないのだとすれば、

新たな敵が存在することになる。


しかし、それは…

ドレイ工場が敵の本拠地だった場合だ。


事実、ドレイは工場で生産されたはずだ。


しかし、その場所が

本拠地である可能性はそう高くない。


リヴィアは首を振って

眉間にシワを寄せた。


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