心 ―ハジマリノウタ―




「この話は、止めにしよう。

もう夜も遅い。

アンタも初任務で疲れただろう?

お疲れ様。

明日、時間になったら起こしてあげるから、

今日はもう寝なさい」



リヴィアはそう言って、

少し目を細めた。


そういうリヴィアも

少し疲れたようだった。


私は頷いて、明日に備えるために

眠ろうとベッドにあがった。


しかし、頭を巡るのは、

明日の戦闘のことばかりだ。


いつものように睡魔は

私の意識を連れて行ってはくれない。


リオは本当にいるのか。


無事なのか。


メイも一緒にいるのか。


戦闘の勝算が低い。


死者も出るだろう。


新種のドレイも、

襲ってくるかも知れない。


私はこの歌で、

大切な人を守れるだろうか。


能力を手に入れた今でも

心に吹き付ける不穏な風が、

私を不安にさせる。


今までの私は、救われてばかりだった。


そして、できることは、

祈ることだけ…。


しかし、能力を手に入れた今は、

この手で大切な人を救うことができる。


ああ、どうか。

どうか…

リオを

メイを

無事に救うことができますように。


私はそのまま、

瞳を閉じて、眠りについた。




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