心 ―ハジマリノウタ―



歌を歌うと、どんなに拒んでも、

今までの思い出が脳を巡る。


苦しいとも感じた。


その輝きは眩しすぎて。


けれど、それよりも…。




「ユア…何故泣くの?

悲しいから?苦しいから?

…戻りたいから?」




胸の痛みなど、気にしなければいい。


それは、目に見えるものではないのだから。


見えないものが存在しないなどという

エゴはあまりに非情だが、

その痛みが、存在しないものならば、

たとえ消えることが無かったとしても、

関係ない。


私は首を横に振った。


それでいい。


それしかない。


私に道は、もう、後ろにしかない。


あの、奴隷だった頃に戻ろう。


それが、私の運命なのだ。


あのとき、夢でクリスタルが言った。


これが私の運命。




「苦しいわけでも、

悲しいのでもありません。

もちろん、戻りたいわけでも。

ただ…」




何と続けようか。


答えなど知らないし、要らなかった。


その時、フェイクが私の涙をすくって

そっと言った。




「俺じゃ、あいつ等の代わりにはなれない?」





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