心 ―ハジマリノウタ―




「ごめんなさい。

言ってはいけないことを言ったのは、

私の方だったわ…。

貴方が心亡き者になって、

奴隷として働かされていた事の責任は、

私たちにあるのに。

本当にごめんなさい」




カトレアは静かに頭を下げた。


私は首を振った。


謝る必要はどこにもなかった。


ただ、私は…。




「確かに、私達は心を捨てることは

できないでしょう。

でもね、心を持った者にしかできない愛しかたも、

守り方もある。

だから、彼を責めないであげて。

そして、受け止めてあげて。

彼が、貴方を受け止めてくれたように」





初めてここに来た日、

彼が抱きしめてくれたように?


歌を歌ってくれ、と言ったように?


私が、彼を?


それが彼のためになるのならば、と

私は、頷く。


するとカトレアは、にっこり笑って、立ち上がった。




「ありがとう、ユア。

さあ、こっちにいらっしゃい!

こうなったら、フェイクを驚かせてやらなくちゃ」




< 434 / 534 >

この作品をシェア

pagetop