白球ノート


そんなヒデの苦悩な日々をうち消すような言葉が岸田監督から聞けた。


私は嬉しくて、
スコアブックに書く白い丸を大きく書きすぎてしまったよ。


ストレートのストライクは白い丸!


サオが私に一番最初に教えてくれたスコアの書き方。


その記号が私たちの代、一番最初のスコアに記入出来たことがすごく嬉しかった。



ミットに収まったボールを取る前に、
サクちゃんは右手で小さくガッツポーズをしていた。


サクちゃんにとっても
このストライクは嬉しいもの。


ヒデの後ろで守るみんなも笑みをこぼしていた。


サオにも見えてた?
みんなのあの笑顔。


たった一球で
グラウンドに立ってた9人がみんな笑顔になったの。


たったひとつのボールで
たくさんの笑顔が生まれた。


あの一球はみんなの心の中に絶対残るよね。


少なくとも私の中では一生輝き続ける思い出になるよ。


きっとサオも同じ思いだったよね?


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