職場内恋愛





『もう、ほとんど美優の目が見えなくなった頃だった。

そのときにはもう、俺は大学生で。


講義を受けてる俺のもとにメールが届いたんだ。

送り主の名前見て、ビックリしたよ。


俺にメールを送ってきたのは

美優だった』


アイツは病室で携帯使えなくて。

それに視力も落ちてきてたからメールなんてできるはずがなかったんだ。


だから美優からのメールなんて、
いつぶりだったか分からない。



『教授の目を盗んでメールを見た。

そこには


『ゆうさく、ありがとう

だいすきでした

さようなら』


全部、ひらがなのメールで。

メール読んだ瞬間、寒気がした。


胸騒ぎがして。


病院に行かないといけない気がして。

俺、急いで病院に行ったんだ。


そしたら人だかりができてたんだよ

なんかイヤな予感がしてて。


走って人だかりに突っ込んでいった』


あのときのことは忘れたくても忘れられない。

あの人の山も

あの日の天気ですら覚えてる。


それくらい、印象が強かったんだ。







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