すき、好き、もっとスキ。



「あー……」

「……あっ、真山君」



後ろから聞こえた声に不機嫌な顔のまま振り返ると、そこには真山君が居て。



「……何で名前知ってんの?」

「えっ! め、名簿」



首を傾げた真山君に、手に持っていた資料を見せた。



「あー、なるほど」



うんうん、と大きく頷くあたしに



「で、あんたは?」

「はっ?」



何、言ってんの? 何のこと?



「だから、あんたの名前は?」

「え、あっ。大石梢ですけど」

「ふーん、大石梢ね」



納得したような顔で、ふーんと頷いた。


……バスん中で自己紹介したよね、あたし。


てか……さっき喋ったじゃん!

まぁ、お礼言っただけだけどさ。


あー、寝てたんだっけかな、この子。


そんな事を思いながら、ボーッと真山君を見上げて居たら近付いて来た顔にハッとした。



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