すき、好き、もっとスキ。



話の飛び交う車内で、俺は1番後ろの席で目を閉じた。



今日は宿泊学習。

昼は色んな名所を見学して、
夜は各担当教師に何でも質問が出来る。


中学ん時とかと違うんは、
飯ごう炊さんとか、キャンプファイヤーとかがないだけかな。


まぁ、俺からすればどっちにしても面倒なんやけど。



「おい、神楽。トイレ休憩だって。ジュースでも買いに行かね?」



どれくらい経ってからかは、わかれへんけど隣の席に座る柴(シバ)に起こされた俺は寝ぼけながら外に出た。


体を伸ばして、ネクタイを緩めると



「神楽君、ネクタイはちゃんと締めてね」



そう担任からの声が、すかさず飛ぶ。


名門校って言われるだけあって、身だしなみには厳しい。


服装の乱れは心の乱れ。って……なくはないとは思うけど。


ネクタイって苦しいねん。

社会人になったらスーツ着んでもいい仕事したいなーって思ってまうくらいにネクタイは嫌いや。




< 77 / 110 >

この作品をシェア

pagetop