すき、好き、もっとスキ。



そんな俺の心配を的中させるかのように、見学先を見て回る俺に飛んでくる痛いくらいの視線。


もちろん、それは梢以外におらん。


気付かへんふりをしていても、それが梢ってわかるのは俺の視界の端にアイツが映るからで。


はぁ……やっぱりな。

まるで俺の後を追うかのように付いて回る梢に、重い溜息が零れた。


やっぱり先に手を打っといて良かった。


あいつの事やから、こんな静かな場所でも大声で『璃久ー!』とか叫ぶに決まってる。

怒られるんは俺じゃなくて、梢やねんから。


つーか。
社会人って、仕事って、意識はあるんか?

ちゃんと仕事しろよなぁ。


あー、何か頭痛なってきた。


そう思いながらも、梢が気になってまう俺も……どうやねん。


気付けば視界の端に映る梢を確認してて。

そんな自分自身が情けなく思った時やった。



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