加納欄の記憶喪失 シリーズ5
 大山先輩の言葉に、さっきまでのイライラが一瞬で消えた。

「イヤか?」

「別に・・・」

「そうか、じゃ、話してくれよ」


話す?


「祥子とかに、欄の話しを聞いたりするんだけど、いまいちピンとこなくてさ。欄から話してくれたら、何か思い出す事があるかもしれないだろ?」


大山先輩・・・。


「何の話しをすればいいですか?」

「記憶を失った事件の話ししてくれ」

 大山先輩の目は、真剣だった。

 あたしは、黙って頷いた。

「あれは、1本の電話が、署に掛かってきたんです・・・」

 と、2入で事件現場に行った事。

 倉庫内は特に異常がなかった事。

 突然襲われた事。

 大山先輩が、あたしをかばってくれた事。

 署に応援を要請してる時に、背後から殴られた事。

 を、あたしの思い出だせる範囲で細かく報告した。

「で、まだ逮捕に至らないと」

 話しを聞いて、大山先輩が、言った。

 犯人は、わかったのだ。

 ただ、簡単には、捕まえられないかも知れない。

相手は、遼だ。

後ろには、孔明師範がいる。

「何か、気になる事があるのか?」

「・・・いえ」

「欄、記憶取り戻す為に協力してくれるんだろ?」


そうだった。


「大山先輩、こ、孔明師範って覚えてますか?」

大山先輩は考える。

「いや」


・・・ですよね。


前にあんな目に、あったのに・・・。


記憶あったら、忘れてるわけない。


記憶喪失って、すばらしい。


「そいつ、何者?」

「武術の達人なんですが、最近は、裏の仕事もし始めたって、よくない噂があって、その弟子の1人に遼っていうのがいるんですけど、私を襲ったのは遼なんです。ヤク中男を使って、大山先輩を襲わせたのも、遼です」

「またなんで、そんな奴が」

「それは・・・」

あたしは、目を泳がせた。

大山先輩は、それを見逃さなかった。

「欄に、何か、関係あるのか?」

「・・・・・・」

「欄?」

「・・・わ、私が、目的です・・・」

「欄を?何かしたのか?」

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