加納欄の記憶喪失 シリーズ5
「今回は、その孔明師範はいるのか?」

「わかりません。あのまま中国に帰ったとばかり思ってましたから」

「とりあえず、分かってることは、犯人は遼という男。目的は、欄の奪回。黒龍会と繋がりがあるかもしれない。ってことだな?」

 あたしは、頷いた。

「だってよ、タカ」

 と、言って、ドアに呼び掛けた。

 扉を開いて高遠先輩が、入って来た。

「・・・すみません」

「内容はわかった。またあの男か・・・」

 高遠先輩は、一撃で倒された苦い経験があるから、孔明師範には、嫌悪感を感じるらしい。

 大山先輩も、やられたんだけど、そこは記憶喪失の都合のいいところで、本人は覚えてないらしい。

「欄、お前この仕事出来るのか?」

 先ほどまでの、生気のない表情とは比べ物にならないほど、意識がはっきりしている様子の私をみて、高遠先輩が聞いてきた。

「ケリはつけるつもりです。遅かれ早かれ、孔明師範が、あのまま黙ってるとは思っていませんでしたから」

「お前を戦力として使っていいんだな?」

「構いません。相手が分かってるのに出方を見てるのは性に合いません」

「仁に指導受けてきただけの事はあるな。攻撃型だ」

 あたしは、笑った。

「高遠先輩?黒龍会は、何を企んでるんです?」

「あそこは今、シャブを大量に売りさばいてるんだ。外国人にさばかせて売上を稼いでる。そのルートが、中国からだってのは、今日わかったんだけどな」

「まさか!」

「いや、そこまでは、確信じゃないんだけどな」

「でも、大山先輩を襲った篠塚と遼は繋がってますよ。遼が言いましたもん」

「まぁ、何にせよ。一気に攻めるか!」

 大山先輩が、気合いをいれた。

「大山先輩は、まだ入院でしょ?今回は、高遠先輩と私でやりますから」

 あたしが、大山先輩の気合いに、水をさした。

「お前なぁ、こんな時に何言ってるんだよ」

「こんな時だから、言うんですよ。遼は、簡単には倒せませんよ」

「欄だって治ってないんだろ?」

「私は大丈夫です。私と大山先輩の怪我の密度が違いますからね」

「何言ってるんだよ。同じ同じ。だいたい、俺をこんな目に合わせた奴だろ?お礼はしなくちゃな」

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