加納欄の記憶喪失 シリーズ5
「尊敬?孔明師範のように?」

「遼!」

「純粋に武術を習っていた時の?それとも、女としての喜びを教えてもらった時の?」

「遼っ!」

「尊敬?男なんて同じだよ。欄の事を思ってる奴は少なかれ体の事を考えるさ」

「やめてよ」

「やめてよ?そう言い続けて毎晩抱かれてたんだろ?実は待ってたんじゃないのか?孔明師範のこと、”尊敬”してたもんなぁ」

「やめてっ!」

 遼の言葉に、昔の事を思い出す。

「最初は嫌がってても、最後の方は喜んでたんじゃないのか?」


よろこ・・・ぶ・・・?


「ホントは、待ってたんだろ?」


待って・・・た?


 あたしは、左右に頭を降った。

 そして遼は、後ろからあたしを、包み込んだ。

「欄、好きだ」

 あたしの心臓が、早くなる。

「な、なにするの・・・」

 遼は、あたしの後ろ髪を、優しくかき上げうなじにキスをした。

「や!遼!」

 あたしは、慌てて首をすくめ、振り向こうと身体を反転させた。

「欄、あきらめろ。お前の弱点は、孔明師範から聞いた」

 まだ、遼の腕の中でもがいていた。

「じゃ、弱点?何の事?放してったら、遼!」

 向かい合いになった、遼の肩をグイッと押しやったが、遼の鍛えられた力にはかなわなかった。

「欄、俺のことそんなに嫌いか?」

 遼が、突然言った。

「き、嫌いって・・・」

 あたしの、手の動きが止まった。

「嫌いではないわよ。ただ、裏切られた感じがしてる」

「裏切る?」

「私は、こ、孔明師範がしたこと・・・許せない、許すつもりもない。遼も、同じ気持ちでいてくれてると、思ってた・・・でも、遼の中では違ってた。ただ、それだけ」

「俺が、孔明師範を、許さないの?なぜ?」

「だから!!その感情の行き違いがわかったから、私は、遼とは一緒にいたくないの!」

「欄、なんだよ。その、感情の行き違いって。俺だって、欄が好きなんだぜ。孔明師範より、欄のことが好きなんだぜ。抱きたいって思うだろ?」

「一方的な思い込みで抱いてもいいと思ってるの?!」

「俺と欄は一方的じゃないだろ?孔明師範の時だって・・・お前は」

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