加納欄の記憶喪失 シリーズ5
 さすがに、勝てる気がしなかった。

 無事に抜け出せるかも、難しかった。

「遼、何ですか、この失態は」

「孔明師範?・・・いや、これは」

 遼も、孔明師範が、いることに驚いたようだ。

「私は、ただ、欄を連れて来い。と、命じただけですよ。欄に傷を負わせたそうですね」

「聞いてください!師範!それはっ、計画が!」

「言い訳は結構です。欄が受けた苦痛を味わいなさい」

 孔明師範はそう言うと、左側の男に拳銃を渡した。

 拳銃を渡された男は、ためらうことなく遼の左足を撃ち抜いた。

「うわぁ~!」

 遼が、叫んで足を押さえた。

 あたしは、目を見張った。

「連れてけ」

 孔明師範は、男達に命じた。

「黒龍会との取引はしないと、言っといたハズですよ。私に隠れて何かしようなどと、思わない事ですね」

 2人の男に連れて行かれながら、孔明師範は、遼の背中に静かに話した。

「遼!」

 思わず追いかけようと足が向いた瞬間に、孔明師範が、すかさずあたしの前に立ちはだかった。

 あたしは、身構えた。

「ほぉ?やる気ですか?私と」

「行かせてくれないなら、やるまでです」

「遼が心配ですか?大丈夫ですよ。いちを、戦力にはなるように、鍛えた男ですからね。殺したりはしません。ただ、私の命令に背く事は許しません。彼はあれで、学ぶでしょう」

「あんな事しなくても!」

「欄が心配しなくてもいいことですよ。それより、遼から話しは聞いてますよね。私の片腕となって働いてもらいます」


孔明師範の?

 返答に迷いなんてなかった。

「嫌です」

 孔明師範の動きが止まった。

「あたしは、2度と孔明師範や遼とも会いたくありません。あたしの前に現れないで下さい」

「欄。自分が言ってる意味がわかってますか?」

「もちろんです。あたしは、今刑事です。本来なら、遼を逮捕するはずでした」

「まだ、そんなことしてたのですか?欄、私と来れば、贅沢な日々が過ごせるんですよ」

「孔明師範といて、あたしが贅沢だと思える日はないと思います。今の生活が1番幸せだと思ってますから」

 言い終わった瞬間に、孔明師範の拳が飛んできた。

 あたしは、ギリギリで交わした。

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