加納欄の記憶喪失 シリーズ5
 孔明師範に本気出されたら、絶対に勝目がない。


 そう思ってる瞬間に、孔明師範が攻撃を仕掛けて来た。

 あたしは、払いのけるだけで、精一杯で、とても反撃することが、できなかった。

「どうしました?欄。男5人を倒したんじゃなかったのですか?」


なんで、知ってるのよ!


「交わすだけじゃ、勝目はありませんよ」

 孔明師範の蹴りが、あたしのお腹に入った。

「ウッ」

 あたしは、カウンターテーブルに激突した。

 体を起こそうとした時には、孔明師範が目の前に迫っていた。

 あたしの両目に、孔明師範の指が止まっていた。

 あたしは、動くことが出来なかった。

「動きが少し鈍いですね。遼にやられた怪我が、まだ治ってないのですね」

 そう言いながら、もう片方の手をゆっくりブラウスにもっていき、遼に裂かれたブラウスを摘んだ。

「しょうのない男ですね。禁欲も1つの修行なのに。でも、欄に触れていいのは、私だけですけどね」

 孔明師範は、胸の膨らみに手をかけた。

「!!!!」

 あたしは、唇を噛み締め、顔を右側に背けた。

「違う運動でもしますか?久々に」

 あたしの息が、ハッハッと荒くなる。

 嫌悪感で息が乱れ、震えそうになる。


逃げろ!


逃げろ!


孔明師範の思うままじゃダメだ!


 頭の中で何度も繰り返す。

 あたしは、ビクッとなり、酸素が足りなくて、金魚みたいに、口をパクパクさせた。

「今日は随分おとなしいですね」

 心の中では、必死に叫んでいた。

 ただそれが、声となって出ないのだ。

「震えてるんですか?大丈夫ですよ、私の名前を呼んでいて下さい」

 あたしは、何とか頭を降った。

 孔明師範が、まるで当たり前のように、あたしの首筋に愛撫をはじめた。

 あたしは、かなり縛りにあったかのように動けなくなった。

「大、山、せ、んぱ、い・・・助け・・・て」

 小声でそう言うのが、やっとだった。

 その言葉が聞こえたのか、孔明師範は、あたしの頬をおもいっきり叩いた。

 左頬がカッと熱くなった。

 孔明師範に、顎を捕まれキスされそうになった。

「そこまでだ!」

 第3者の声だった。

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