加納欄の記憶喪失 シリーズ5
 高遠先輩が、拳銃を突き付けて歩いて来た。

「た、高、遠、先輩・・・」

「欄から放れろよ」

 高遠先輩が、孔明師範に、命令した。

 さすがに、拳銃を向けられ、孔明師範は従うしかなかった。

「欄、大丈夫か?こっちへ」

 高遠先輩が、あたしを呼び寄せた。

 あたしは、ブラウスを手繰り寄せ、高遠先輩の所へ走った。

 あたしの様子を見て、高遠先輩は。

「お前はまた霰もない格好になりやがって、会わせられねぇだろうが」

 と、呟いた。

「・・・すみません」

 よくわかんないけど、謝っておいた。

 高遠先輩は、拳銃を下ろさないまま、コートを脱ぎ始めた。

「タカァ?こっちは全部片付けたけど、欄、いたかぁ?」

 もう1人の人物が現れた。

 あたしが、待ち望んでいた人物。

「大山、先、輩?」


もう、大丈夫なの?


記憶は?


「お~、欄、いたかぁ。どした?ブラウス握りしめて」

 と、言われて、あたしは、カッと顔が熱くなった。

 高遠先輩からコートを渡され、慌てて羽織った。

 かなり、大きかった。

「やっと、キングとジャックのお出ましですか?クイーンは、待ちくたびれて、傷物になるところでしたよ」

 と、言ってニヤッと笑った。

「貴様っ!」

 高遠先輩が、いち早くさっして、殴りかかった。

 前回簡単にやられたのを、根に持っているらしい。

 今回も、大苦戦を強いられ、あの高遠先輩が、遊ばれているのがわかった。

 そんな様子を見た大山先輩の闘志にも火がついてしまったらしく、大山先輩も、孔明師範相手に向かってしまった。

「大山先輩っ!ダメ!」

 あたしは、慌てて、大山先輩の名前を呼んだ。

 高遠先輩を相手にしながら、孔明師範は、大山先輩をチラ見し、素早く的確に蹴りを入れた。

 大山先輩は、ぶっ飛んで、椅子に激突した。

 あたしは、慌てて、大山先輩の所へ駆け寄った。

「大丈夫ですか?怪我ないですか?」

「どけよ、欄。あいつが元凶なんだろ?今の蹴りで少し思い出したぜ。アイツと会ったことある」

 そう言って、また、大山先輩は、孔明師範に向かって行った。

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